気密測定
栃木の家。今日は気密測定。
家の気密性能というのは、本来は完成した状態での気密測定で確認するものですけれど、完成した時にだけ測定して、仮に性能に不満があったとしても、その時点では性能を上げるような対応をするのは不可能です。それよりも、骨組み状態の時に漏れの個所を発見して、建物の内装が終わってからでは絶対に対処できないところの気密処理を完璧にするために気密測定をする、とうのが最も有効な測定費用の使い方だと思うのです。
今回も例によって、東京から気密測定の専門会社さんが来られて測定作業。写真のような、バズーカ砲みたいなところから強制的に風を送り、その時の風速(風量)と建物内外の気圧の差から、建物の気密性能を評価するというものです。風を作ることで、隙間から風が入ってきますから、それを探しては気密処理をしていくという作業をします。
下の写真は、床根太間のグラスウール断熱材小口部分です。発泡気密処理の甘い部分があって、空気が入ってきます。そこへ発泡処理を重ねていきます。手のひらをかざすと感じることができる程度の隙間を見つけては塞ぐ、という地道な作業をしていくのです。
もうそろそろ、性能が出てもよいというところまで処理をしましたが、なかなか満足のいく性能が出ません。C値(隙間相当面積という指標)が1.0を大幅に下回っているので、十分と言えば十分なのです。しかし、それでもなんとなく釈然としないものを経験的に感じました。何かがおかしい、どこかに何か、大きな見落としがあってほしい、そういう変な思いを抱きながら探し続けていると・・・、
なんと、はめ殺しサッシのガラスにビートが取りついていないところがあるのを発見しました。それにしても小曾根さん、よく見つけたなあ。ここはビートを取りつければ完全に気密になる部分ですから、仮にテープを貼って対処しました。はあ。後でサッシ屋さんと連絡が取れ、ビートが足りなくなったので後日取りつける予定だったとか。う~ん、それはそれで仕方がないですねえ。気密測定の日程を伝えて、注意していた訳ではありませんでしたので、怒るわけにもいかないですし・・・。
そんなこんなで、今日はちょっと時間を費やして三度目の測定。気密測定士さんも、こんどはどうだと祈るような気持ち?かどうかはわかりませんが、真剣な表情でメーターを見つめていました。
結果、私にも十分に満足のいく結果が得られました。ああ、良かったあ。ところで、私にも満足だなんて偉そうな口ぶりですが、かつて勤め時代には、私も気密測定士の資格をもっていました。そして、機械を車に詰め込んで、あちらこちらの工務店さんが施工した建物の測定や気密処理の指導をしていたことがあるのです。気密測定に関するキャリアは17~18年、という訳なのです。もっとも、その資格を維持するためには、住宅環境省エネルギー機構という財団法人に高い維持費を払い続けなければなりませんし、気密測定用の機械も高額で費用対効果的には、施工棟数が少ないので無駄が多すぎます。それで独立開業してからは、外部の専門業者さんに測定を依頼しているわけなのです。
測定が無事に終わり、直前に到着して外で待機していた電気屋さんが配線工事の続きを行いました。今回の建て主さん、デジタルケーブルなどにとても詳しくて、使用材料にも凝っていらっしゃいます。
HDMIという配線(という表現から、私の知識のなさがよく伝わりますね)も、指定の規格品を使います。施工する上では、定まった方向性と急な曲りに注意です。
ランケーブルも、性能に具体的な要求をいただきました。ランケーブルに、数字で表せる性能差があるなんて、全く知りませんでした。
工事もまた一歩前進。今日の午後には、床に貼るための杉の無垢板が現場に搬入されているはずです。ますます現場が楽しみになってきました。