福島県浜通り地方を視察
福島県の浜通り地方。今年の3月から一般の立ち入りが認められたところを視察する機会があった。場所は、富岡町、楢葉町、広野町の一部。立ち入りが認められるといっても、午前9時から午後3時までの時間制限あり。もちろん、いまだに人が住んでいなくて、宿泊すらも許されていない場所。
富岡町の中心街は、たまに車を見るだけのゴーストタウン状態。人っ子一人として、見かけることはなかった。
道路からちょっと脇の方を見ると、こんな光景ばかりが展開する。
なぜ、このようなことになったのか?
バスの中で簡易測定器の表示を見る。2.16マイクロシーベルト。場所は街中のアスファルト舗装された目抜き通り路上。しかもバスの中での値。
漁港へ向かう。
かつて賑わいを見せたであろう漁港の町。
ここが漁港であったとは、とても想像できなかった。
割れたコンクリートの合間に添えられた花束。
JR富岡駅。
駅前広場に放置された車。
漁港の街並み。
壊れたアパートと残された車。
住宅の一室に打ち上げられたままの軽トラック。
再び海岸沿いの街。
がれきの大半は撤去され、建物の基礎だけが残されている。
その周りを雑草が生い茂っていた。
人々に牙を剥いたその海は皮肉にも美しく見えた。
別の海岸。
移動。途中、踏切を渡る。
線路が見えますか?
別の踏切から見た線路。これが、上野と仙台を海沿いに繋ぐ、あのJR常磐線だとは。
復旧を阻む放射能。
いまだに住む事が許されていない町での除染作業。
のどかな田園風景だったはずだが・・・。
いたるところで、このような光景が広がる。
同時に、こういう光景もいたるところで・・・。
丘の上から見下ろした田園風景。かつて、聖人が「国破れて山河あり」と詠んだ。それを皮肉って「国破れて山河なし」と言った人がいた。本当の山河が戻ってくるのはいつの日か?
帰路、車窓からうろこ雲が見えた。この空は「本当の空」だろうか?
一日本人として絶対に忘れてはならない場所のごく一部だけを見た。それでも衝撃は大きかった。