インテリアとしての窓
契約・着工に向けて打ち合わせ中のお客様宅なのですが、開け閉めの際に虫が入らない窓を、との御要望がありましたので、引き違いではないところの窓は、上げ下げ窓を御提案させていただきました。(写真は渡辺建築工房の北側に設置された上げ下げ窓)
唯一の難点として、網戸が常に窓の外側にあるので景色が悪いことを御説明させていただきました。
するとお客様は、景色云々以前に、インテリアとしての窓そのものの見栄えがどうかということを気にされたのでした。そういう目であらためて上げ下げ窓を見てみると、なかなか難点があるなあと感じざるを得ないのでした。
下の写真を御覧下さい。わりと、ゴッツイですし、色々な金具がはみ出ていて、お世辞にも「インテリアとして綺麗な窓」とは言えないことを再認識したのです。
下の写真は、上げ下げ窓を開けたところです。下側には、写真では分かりにくいかもしれませんが網戸がはめられています。
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そのような訳で、インテリアとしての見栄えを考慮した結果、たてすべり出し窓とよこすべり出し窓を御提案させていただこうと思ったのでした。
今回は、(今回も、か?)お客様に勉強させていただいたような気がしています。
ただし網戸が室内側のロールタイプとなるため、開け閉めの瞬間に虫が入る可能性が否定できません。この辺は、注意していただくしかないのではないかと思っています。とにかく、景色の素晴らしさやインテリア窓としての見栄えは申し分ありませんので。
それらに関しては、私の過去のブログでも記事にさせていただきました。外部のサイトであるため、将来のリンク切れの可能性を考慮して、あらためて以下に転載したいと思います。
***2008/04/20 リビングの窓は外を見る額縁です***
外の景色を「鑑賞」するために、効果的に考えたこのような窓を「ピクチャーウィンドウ」と呼ぶ事があります。窓そのものを、額縁に見立てているわけですね。
腰高(こしだか、と読む。床から窓の下までの高さの事)は50センチです。何故そんなに低いのかというと、我が家のリビングは床にベタンと腰掛ける「床座」を基本にしているからです。一般的な洋室のように、腰高が90センチもしくはそれ以上あったのでは、まったくの「スケール・アウト」という訳です。外がまともに見えない(空だけが見える)ので、圧迫感があります。
ところで、英語圏では窓の事をウィンドウと呼ぶことで分かるように、「風が通る戸」という意味があります。一方、日本語の「窓」の語源は「間戸」で、「柱と柱の間の戸」という意味です。
以下に、今まで設計・施工してきた「ピクチャーウィンドウ」の例の一部をご紹介します。
右の写真は、日光市鬼怒川温泉大原に新築したお宅の窓で、2階の洋室にあります。
この部屋は、美しい広葉樹の森に隣接しているので、そちらを借景として楽しんでいただいています。
ベッドを置くための洋室で、しかも2階ですから腰高は90センチあります。
サッシは「横すべり出し」というタイプで、下のレバーを捻って押し出して開く窓です。